実業の虚栄。職業

ずいぶん前の話ですが、NHKの「エンデの遺言」と「マネー革命」は面白かった。
「マネー革命」は電子立国・日本の自叙伝を作ったプロデューサーが先物取り引きやヘッジ・ファンドについて調べた4回シリーズ。最終回の最後にやっと一言「もっと世の中に役立つことに頭を使っては」という意味の言葉が痛烈だ。なぜアメリカに富が集中するのか、すごくよくわかった。
エンデの遺言」は実に新鮮だった。貨幣が負わされている複数の役割を分けるべきであるという主張だ。そんなこと考えたことなかった。この視点は素敵だが、解決策として「地域通貨」だけが提示されている。もう少しいろいろ考えてみたいところだ。そこで何冊か本を読んでみることにしたい。

とにかくこの二つの番組は、僕が職業を選んだとき、なぜこの世に存在するのか、根源的には理解できなかった職種である銀行、証券、商社について、やはりどこかおかしいのであるという、ある種の回答を与えてくれる。価値の変動の売り買いで、あるいは利子で儲けるわけで、何も生み出さない、何の役にも立っていないのだ。彼らが儲けることができるような世の中であってはいけないのだが、実際は最もお金持ちな人たちである。そういえばMBAに来ている奴らはそんな職種の人たちが多い気がする。僕の仕事は放送。一見、モノ作りではなさそうだが、実は文化を創って売っているとも言える。別の言い方をしてもいい。士農工商には属さない河原乞食である。でも利鞘で儲けている奴らよりは意義があろう。トリビアの泉の冒頭でアイザック・アシモフが引用されているように人間は無用な知識が増えることで快感を得ることができる唯一の動物なのだ。

アメリカのお金持ちは不動産王である。不動産はアメリカの価値の中心なのだ。1959年のマイアミの訴訟ではプライベートビーチの日照権も認められなかった。自物件内で法律に触れない限り何をしてもよいと言うこと。「マイダス・タッチ」ドナルド・トランプはただお金持ちなだけである。決断力とかビジネスに必要な各種のセンスを取り揃え、The Apprenticeで講釈など垂れているが、油田掘削機やC130を作ったハワード・ヒューズの方がよっぽど立派だ。それが僕の価値観である。

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現在の貨幣システムが与えた結果であるこのアメリカのモラルが好きかどうかという問題だ。そんな革命があるなら、参加してみたいものだ。

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対極として「この」システムの中でのエキスパートになっちゃえという、ロバート・キヨサキ、橘怜がいる。一度しかない人生、苦労はしたくない。という気もする。(弱!)