睡眠は別れ

養老孟司の「無思想の発見」に、寝て起きたら自分が同じ人かどうかはわからんもんだというようなことが書いてあった。P.K.ディックの作品の主題には、自己同一性が記憶のみに頼っている点を揺さぶるものが多い。
寝て起きたら同じ人なのは、習慣というか記憶であって、慣れないとわからないのだろう。
輪廻だってそんなものかも。睡眠は死別なのである。それを前に淋しくて、人は泣く。
翼がなかなか寝なくて、そんなことを考えた。