システムを憎め、人を憎むな

ウィルスに対応する正しい知識と対策を誰が持っているのか? この数か月、見極めるのは難しかったなぁ、と思う。

僕らはついつい、何についても常に正しいことを言う人がいて、その人の言うことを聞いていれば間違いない、っていう人を求めがちだけど、これって日本人のお上や専門家信仰なのかな。そもそも専門外のことにコメントするの、よくないよね。澁谷さんにPCR検査を増やすべきと言わそうとした報道ステーションみたいなことも起きちゃうよね。

入国拒否、渡航自粛、クルーズ船、オリンピック延期、新感染症指定、緊急事態宣言、アベノマスク、PCR検査を増やすべきなのか問題。ロックダウンと外出自粛、店名公表、出口戦略。37.5℃が4日間問題。最初からすべて答えがわかっていた人なんていないんじゃないか。だって新しいウィルスなんだから。

だから、ほーら見ろ、俺が前から言ってたとおりだろ、ってのは問題ごとにあるのであって、個人を丸ごと否定するようなものではない

よきリーダーとはやはり、君子豹変す、じゃないでしょうか。幅広い英知を集めて方針を決定し、誤りが見つかれば軌道修正したなら、ジャーナリズムもそれを賞賛すべきなのではないでしょうか。

いったん決めた道を修正するなんてわけには行かなくなる。大臣がないといったら官僚はそれを見つけてはいけない。官僚自身も、いったん決めたことを変えるなんて、以前の過ちを認めることになるから、絶対にできない。そんなことをして非難されるくらいなら、聞き分けの悪いジャーナリストを無視して、しらばっくれたほうがいいのだ。

行政側だけではない。テレビ朝日の玉川徹は、ゲストの岡田、青木と共に、PCR検査を増やすべきといってきたが、いったんは、医療崩壊しないためにはPCR検査を増やさないほうがいいという意見に屈した。もうこれは終わった話、一番大事なのは医療崩壊を防ぐこと、と。しかし、最近になって、私は一貫して言ってきた。と歴史修正して強弁した。実はあの時、終わった話であるということも間違っていた。あの時以降こそ、増やさなければならなかったのだ。

でも羽鳥真一モーニングショーも虎ノ門ニュースもTwitterも、相手はどうせ何を言ってもわかってくれないと思うから、結局コミュニケーションしてない。相手を個人的に非難するだけ。権力の行動をチェックするのはジャーナリズムの責務だが、生産的であるべきであって、単なる罵詈雑言であってはならない。もっと早くできたのではないか、というだけなら、そういうお前は気づいていたか? との批判に答えなければならない。もっと早くできたのではないかではなく、今こそ何をすべき、とだけ語ってほしい。

こうした軌道修正しにくい風潮は、こうした未知のウィルスに対して脆弱だ。社会システムが硬直状態に陥らないよう柔軟に改善し続けていけるようにするためにも、システムを更新する試みをたたえ、生産的なアドバイスを送る人に耳を傾け、外野から皮肉ばかりいって蔑む人を憎みたい。

集合値を得ながら、機を見て豹変する君子を、きちんと評価する社会となるにはどうしたらいいのか。