次はゲームなんだ。ホリエモン

ゲーム屋の鼻息荒いE3(勝気)

次ぎにくるのは、インターネットとかいうことではないのだ。インターネットといったとき、対応する言葉はテレビではなく、電波とか衛星とかケーブルとかってことだろう。ホリエモンがテレビを壊すというなら、それは電波や衛星と言った既存の(免許に守られた部分もある)搬送手段の破壊なのだ。一方、ゲームを考えたとき、ゲーム業界は今や、アメリカでは映画業界より稼いでいる。ゲームはまさに受動的映像メディア、テレビ/映画に「対応する」言葉だ。今年のE3には3社の次世代機提案がそろい踏み。XBOX360PS3、レボリューション。これらゲーム機はクローズドな環境だけに、同時に文明であり文化でもある。

3社を比較したとき見えてくる、任天堂の独自性・・・
ソニーは音楽会社、映画会社も持っているが、基本的に家電メーカーである。CDプレーヤー、DVDプレーヤーを売るために、メディアを持っているのである。PSを売るためには、ゲームも作るし、PSはDVDが再生できるようにする。PSXはテレビ録画ができるようにした。痛い経験らしいが・・・。とにかく大きさを見てほしい。あれはビデオデッキである。

マイクロソフトはコンピュータソフト会社である。家庭/会社/学校に存在するありとあらゆるコンピュータの基本ソフトに関わることが、重要なのである。ゲームの場合、ゲーム機そのものを作ることが大事である。XBOXはパソコンである。

つまり、以上2社は究極的にはそこでプレイされるものが「ゲーム」でなくてもよいのである。これは文化の戦いではなく、文明の戦いである。だから、ゲーマーを増やそうとはしていない。お茶の間の真ん中に、あるいは個人の部屋のテレビで、ちょうどパソコンに向かうときとテレビ/映画を視聴するときの中間の距離でプレイされるゲーム機に対して、マイクロソフトはそれがPCに取って代わる時代がやってきたときに、電子メール、ウェブブラウズをマイクロソフトを通してやってほしい。ソニーはDVDプレーヤ、ステレオに替わる物になったとき、まだソニーを使っていてほしいのである。

一方、任天堂花札屋である。おもちゃ屋であり、ゲームプレイに興味があるのである。彼らが作る物の大きさは、他の2社より遥かに小さい。ゲームキューブには取っ手もある。彼らの戦略だけが、「ゲーマー」の拡大を狙っている。Nintendo DSのコンセプトは、自らがファミコンで作り出した伝統的なコントローラー(左手親指に十字キー、右手親指に2〜4個のボタン)によって、非ゲーマーから遠く感じられるようになってしまったゲーム世界をもう一度手の届くモノにしたかったと述べている。

おもちゃ屋はメインストリームではない。彼らは誰の家にもあった、花札、トランプ、人生ゲーム、麻雀の代わりを作っているのである。数の上で、任天堂が負けるのは目に見えている。それは任天堂に苦しい戦いをもたらすかもしれない。しかし、任天堂が生き残る限り、新たなインタラクティブ体験の提案があるかもしれない。それは受動的映像メディアへの引導にもなり得るのか。余暇をいかに過ごすかという、文化的な戦いなのである。

キーワード

没入・・・HD品質のグラフィックスとよりリアルな世界が高める没入性。こんな、マスではない没入的メディアが与える影響。新聞、ラジオに対して映画/テレビが持たれる印象も同じような物だったか。僕がゲーム機を買わない理由は、パチンコをしない理由と同じ。没入的で怖いのだ。はまったら大変なことになりそう。人生、時間は限られている。

カジュアルゲームズ・・・巨大な世界観のゲームに対して、ソリティアやカジノゲームのような小さなゲーム。没入的という意味では、同じ。ユーザー層が広い。私も中毒症状がある。当初PDAが売れた理由はコレじゃないかと揶揄されたもの。現在は、携帯電話という、巨大市場。

広告メディアとしての可能性(量的に合格)
テレビの平均視聴時間はまた減った。ゲームに費やす時間は平均15時間/月。これは、1クール22エピソードのテレビドラマにも到達できない時間数。しかもゲームはテレビよりも集中している。視聴者がプロファイルしやすい。

リニアメディア
ゲームのようなデジタルメディアに対して、映画/テレビをこう呼ぶ。映画スタジオはデジタルメディアを作るのが下手だという。「彼らはソフトウェアを作るのに失敗し続けてきた。」たぶん、バグがあり得るものを期限通りに作り小売りに渡すということ、よっぽどしっかり予算管理が必要なこと。(ゲームは販売個数が読みやすい。映画の興行収入は読みにくい。つまり予算の箍がはめにくい。監督の言いなりで予算を超過する例は多い。)そして、映画とはかなり異なる種類の技術的プロセスを経て制作されること。(やはり新聞とテレビの違いの時代のアナロジーが適用できそうだ。)

デジタル配布
インターネットでの配布しか、奴ら考えていない。カジュアルゲームは大いに恩恵を被っているが、巨大なゲームもか?

インタラクティブTVの陰もない
コンソールが圧倒。PCだって影を潜め始めた。なにせマイクロソフトブースにはXBOXしかないのだ。携帯は元気だ。ノキアだってブースを構える。インタラクティブTVの話なんて、全く目にしない。

「メディア」入場者が多い
会場でやたらとメディア入場者を目にする。NABとSIGGRAPHしか経験がないが、どうも多い。持っているのは、デジカメ、DV。おそらくゲームはオンラインメディアでこそ、「報道」されているのだろう。